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村崎 で、こういう事件が起きると、流れというか同時多発というか、同種の電波がまた別のキチガイの心に働きかけてくるので、似たようなキチガイ犯罪が連チャンするんだよね。岡山で18歳の少年が「誰でもいいから殺して刑務所に入りたかった」ってことで、会社を駅のホームから突き落として殺した事件なんか、その典型だよな(★3) 唐沢 『刑務所の中』で花輪和一が「刑務所はけっこう楽しい」なんて書くから、こういう弊害が出てくるんだな(笑)。あの話が何でユートピアものかというと、現代人があまりに恵まれすぎ、かつ自由過ぎて逆に“何をやればいいのか、モチベーションが見えない”中で、上からの命令による単純労働、たとえば袋張りって“目標”や、規則の合間々々でのちょっとした自由の素晴らしさ、という、枷の中で始めて体感できる喜びを描いているからなんだな。土浦の事件の犯人もそうだけど、自由を与えられている分、逆に何をやっていいのかわからなくて、自分の居場所が見つからないあまりに逸脱した行為に走るような若者が増えていることは確かだろう。小はネットでの誹謗中傷から、大は通り魔殺人までね。日本人ってもともと、あらかじめ決められたワクのなかでこそ、もっとも才能を発揮するような民族なんだけど、アメリカ型の自由尊重の風潮が逆に心の牢獄を欲している若者を増やしている悪弊も出てきていると思うよ。 村崎 ネット中毒っていうか、常にネットから離れられないなんてのは、カギのかかっていない“開かれた牢獄”に囚われているのと同義だと思うよ。ホントはいつでも牢獄から出ていけるのに、行こうともしないでいつまでも拘束されてる状態。 唐沢 だから「ネット・ダイエット」っていって、一週間ぐらいネット絶ちすることで心の平静を取り戻すことを奨励している精神科医もいるよね。そこまでやらないと、現代人って自我が肥大したまま、世間と自分との接点が見つけられなんだよ。 村崎 何度も言ってることでもうイヤなんだが、ネットやってるってのはシャブ決めてるのと同じ「変性意識状態」なんだから、ネットで自己実現できるなんて思うなっての! まあ、これはオレも気をつけないといけない事なんだけどさ。ネットは根拠のない全能感や自我肥大や「自分は他の誰よりも特別でエラい」という思い込みを育てるから気をつけろってば。「自分は何処にでもいるフツーの人間」って自覚を忘れちゃアカンよな。 唐沢 つまんないアドバイスかもしれないけど、たまには檀家のお寺でお坊さんの話を聞くくらいの、素朴な宗教心ぐらいは取り戻さないといけないと思うよ。一人ひとりの人間はもともとたいした存在じゃないんだし、周囲との折り合いのなかで自分の居場所を見極めて、そこから逸脱することなく生きていくってのが生活の基本でしょ。それがなんだか「生まれてきたからには、何かしらの痕跡を世の中に残さなくては」なんていう強迫観念にとらわれて、目立とうとする代わりに周囲に迷惑を及ぼしていることに気づかない連中が多すぎる。 村崎 金川の場合、親父が外務省職員だってのも大きかったのかもな。幼い頃からエリート思考やインテリジェンスのテクニックを叩き込まれておかしくなったのかもしれないし。 唐沢 一年前の幡ヶ谷で妹をバラバラにした受験生の事件と同じかもね。「夢を実現する」という強迫観念にとらわれて、そこから取りこぼされた結果、犯罪に走ったというやつ。 村崎 まあ、個人的には「別にオレの知り合いが刺されたわけじゃないし」って感じでどうでもいいんだけど、また今回刺された人たち、みんな善良そうだったりするんだわ(笑)。なんでこういうときにこの場にいるのが、闇金や振り込め詐欺で稼いでいるクソバカ生意気な若者だったりしないのか、ホント〜に理不尽だよな〜。いくら法を守って真面目に大人しく生きたって、アキバ系通り魔に刺されて死ぬときは死ぬ。因果応報なんてナイと思っていいんだな。 唐沢 こういう無差別殺人だと、殺される可能性でいったら、みんな平等だからね。悪い人間が生き延びて、いい人が殺されるってことだって、ちょっと考えると不条理だけど、生き死になんてのはもう自然の摂理のことなんだし、文句のつけようがない。 村崎 でも、今回の事件でいちばん悪いのはやっぱ“家にいなかった妹”だと思うんだよ。オメエ一人がおとなしく犠牲になってりゃ、ここまで無関係な一般市民が巻き添えくうことなんかなかっただろうが! 少なくともキチガイの兄貴に反省させるのが無理な分、妹には家にいなかったことを反省してもらいたいね。 唐沢 東京大空襲の特番がこないだあったが、路地に一歩脚を踏み入れるかどうかで被害にあって死ぬか生き残ったかが別れる。戦争と一緒で、人間の生きるか死ぬかなんてのはホントに紙一重なんだなって痛感するね。そう思うと、何の意味もなく殺されるなんて、自分の価値を貶めることだ、じゃあ殺す方に回ってやれ、って考え方になるのは当然のことでね。ともかく、ゆとり教育やネット中毒で自我肥大した現代人の心の問題をどうするか、ホントにこれは世界中が国連規模で考えないといけないことだと思うよ。 村崎 それに、毎年言ってるけど、春は人心を狂わせる電波の攻勢が強い時期なんだよ。抵抗できなくなるっていうか、なんとなく「ああ、もう何やってもいいんだ」って気になっちゃうんだよ。 唐沢 桜のせいかもしれないよね、あの花の花粉には(交感神経を刺激して興奮を誘発させる)エフェドリンの成分が大量に含まれているから(笑)。 村崎 あと、中国から風に吹かれて飛んでくる黄砂もよくない! あの黄砂の一粒一粒に日本人の心を狂わせる呪力を持った何かが含まれていて(ウソ)、これは毒ギョーザ問題以上に深刻な中国の世界戦略だったりする気がするぞ〜! 唐沢 その陰謀史観もまた電波のように聞こえるけど(笑)。 村崎 いや、実際最近はすごいよ、千葉で出勤しようとアパートから出てきた会社員が「おい」と後ろから呼び止められて振り向いた瞬間に「カネ!」と言われながらいきなりブスリと刺されたとか(★4)、岩手で女子高生が痴情のもつれで同級生の男子に刺されたとか(★5)、新宿駅で女が顔をいきなり切られたとか(★6)、もうそこらじゅうで無法な追い剥ぎが跋扈する羅生門状態(笑) 唐沢 こうなると、学校で精神鑑定のプログラムを組み込むとか対処法を考えないといけないんだろうけど、いまのところはキチガイと思った人間を密告するしか方法がないんだろうね。そうすると「それでもボクはキチガイじゃない」っていう冤罪騒ぎが出てくるのは確実だろうが、昔はそれも含みリスクとして、やむを得ないと考えてた。完全に冤罪をなくすか、それとも、冤罪の可能性もにおわせて、君子危うきに近寄らずと国民に注意をうながすか。 村崎 そうなると、この世の中全体が丸ごとキチガイの頭の中なんだみたいな危機意識を持って、常に見ず知らずの人間に殺される可能性を自覚しながら生きていかなければいけないんだっていう、毒にも薬にもならない結論になっちゃうんだよな〜。板橋区の小学生が卒業式の後に飛び降り自殺したなんてのもあったが(★7)、これも春らしい事件っちゃあ事件だよな。 唐沢 要するに卒業だの就職だの転職だの“環境が変わるのがイヤ”で、ストレスたまっちゃうケースが春さきには多発するんだな。 村崎 この小学生は、卒業式の呼びかけで「大好きな学校!」って言わなきゃいけないところを「大嫌いな学校!」とか言っていたらしくて、それで怒られたので「死んでお詫びをします」って遺書があったそうな。いまどき、ああいう偽善的な“呼びかけ”を生徒に強要するのもどうかと思うぞ。 唐沢 「大嫌いな学校」なら、卒業してもうおさらばなんだから、何も死ぬことないじゃんと思うけど(笑)。 村崎 たぶん“天国からのお招き”があったんだろうね。そういう電波も春先には異様に多いから。それと、小さなニュースだけど面白かったのが、小平市で女子中学生2人が授業中に「そうだ、京都行こう」じゃなくて「そうだ、万引きしよう」って思い立って、授業を抜けて校門を出てからタクシーひろって「ドンキ行って!」って運ちゃんに頼んだら、「ドンキホーテ」じゃなくて肉料理の「びっくりドンキー」に連れて行かれて、それで女の子たちが怒ったのか、気を取り直してドンキホーテまで行かせて、店の前でトンズラして結局無賃乗車で捕まったという事件があったんだよ(★8)。 唐沢 先が読めなさ過ぎて、何が何だかさっぱりわからん(笑)。 村崎 いやあ、カフカばりのシュールで不条理な展開で、死ぬほど笑ったわ。女子中学生が無賃乗車のタクシーで乗りつけて万引きしに来るなんて、あい変わらず凄い人気だね、ドンキホーテは(笑)。タクシーの運ちゃんも女子中学生にからかわれていると思って、イヤミで「びっくりドンキー」に連れてったのかもしれんけどさ、英霊の皆さんが身を犠牲にしてもたらした戦後63年の平和が、結果的にこういうアホな女子中学生を生み出していると思うと、なかなか感慨深いものがあるよな(笑)。 |